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2019.11.07
「池坊×北斎シンポジウム2019」を開催
11月2日(土)『池坊×北斎シンポジウム 2019 in KYOTO』を京都・池坊会館2階ホールで開催しました。
このシンポジウムは、11月13日から開催される旧七夕会 池坊全国華道展で実施される特別企画『池坊×葛飾北斎』に先駆けて企画されたもので、 池坊と葛飾北斎の専門家が集い、2つの「美の世界」や伝統文化の継承について議論されました。
池坊中央研修学院講師の土屋郁剛氏は『池坊専応口伝』の序文を紹介し池坊の美の考え方や仏前供花に始まる日本のいけばなの変遷をパワーポイントを使いながら解説しました。
また、漆工芸家で人間国宝の室瀬和美氏は、日本の文化について「正倉院の宝物の数々をみてもわかるように工芸の文化」「漆は江戸時代には海外で尊敬を込めて“ジャパン”と呼ばれていたが明治時代に“ラッカー”と翻訳されてしまった。漆は“URUSHI”として世界に発信したい」など熱く語られ、 いけばな文化の継承については「いけばなで稽古した立花や生花がサイズ的に家庭に飾れないなら、立花生花から学んだエッセンスを生かすことが大切」と話されました。
当日は北斎肉筆画の代表作『松に富士図』が特別に披露され、松を使った立花正風体と見事なコラボレーションを披露しました。
その他、初公開の肉筆画2点『めばる図』と『富士見西行図』が旧七夕会に先駆けて展示され、北斎ファンを唸らせていました。
北斎学会関係者からは、「北斎は花や自然の肉筆画を沢山描いていて、壮大な自然の“一瞬”を捉えることができた稀有な画家。いけばなの植物の一瞬の命の輝きを捉えるという点では同じ眼差しかもしれない」という声もきかれました。
11月13日から始める「旧七夕会 池坊全国華道展」では初公開の肉筆画5点を含む12点の北斎作品が展示され、5人の教授陣がコラボ作品に挑みます。
ぜひご注目ください。
北斎肉筆画と立花
基調講演をする土屋郁剛氏