次期家元 池坊専好がKUAS京都先端セミナーに登壇し、対談といけばなデモンストレーションを行いました
ホテルグランビア京都で11月8日、京都先端科学大学が主催する「KUAS京都先端セミナー 第3回」が開催され、池坊専好次期家元が国際政治学者の東京大学 藤原帰一名誉教授と対談、いけばなデモンストレーションを行いました。
本セミナーは「世界から京都を、京都から未来を」をコンセプトに同校の教授が講師を務める講座で、今回、同校の特任教授を次期家元が務めていることから登壇しました。当日は、同校の山本名美教授がモデレータとなり、「『政治』と『戦い』と『美』の京都 国際平和・芸術教育」をテーマに対談が行われました。
藤原教授は造詣の深い映画などの事例を紹介しながら「芸術は権力や宗教の象徴として使われ、翻弄され続けてきた。圧政があったから生まれたと言われる芸術もある。その反面として、モダンアートはプロパガンダとなることを嫌い、観客から自立することを狙ったが、芸術は観客との共有から離れて成り立つものなのか」と問題提起すると、次期家元は「いけばなも政治の庇護を受けてきた側面がある一方、既存の美を否定するところから始まる『専応口伝』は応仁の乱を経て生まれた。形として残すことができない「いけばな」はその時代に生きる人に支持されて伝えていかざるをえないもの」と話しました。
また、昨今の世界情勢について、藤原教授は「戦争の時代に入り、力でねじ伏せる時代が復活した。長期化することが予想される。これはまさに応仁の乱の時代の京都と同じ状況」と伝え、紛争地域で行われているアートセラピーについて紹介。次期家元は「文化のできることは一人ひとりの中に小さな平和を作り出すことで、宗教や民族や国境という分断を越えて文化という小さな種を蒔いていけたらと思います」と話しました。
デモンストレーションでは、松、ユキヤナギ、リンドウなどを用いた立て花をいけ、常緑の松の依り代としての役割や祈りの花としての立て花についての説明、また、パナマヤシ、ユリ(マルコポーロ)、アゲラタムの生花新風体では、それぞれの花材の美を見出し生かすことについて実演しながら説明しました。
講演終了後には、聴講者の多くの方が作品の写真を撮影されていました。