令和5年度 旧七夕会池坊全国華道展を開催しました
華道家元池坊では11月8日から13日まで旧七夕会池坊全国華道展を開催しました。今年度は「華の軌跡」をテーマに、期間中、展示替えを行いながら延べ約900点のいけばなを展示しました。
コロナ禍により中止していたデパートでの開催を、今年は大丸京都店の大丸ミュージアム京都を会場に、4年ぶりに実施しました。初日の8日にはオープニングセレモニーが行われ、華道家元四十五世池坊専永家元、池坊専好次期家元、池坊美佳審議役、池坊雅史事務総長、池坊専宗青年部代表、来賓として大丸京都店山崎敏子店長が出席され、次期家元および山崎店長からごあいさつがありました。次期家元は出瓶者に向けて「『華の軌跡』というテーマには、旧七夕会が困難を乗り越えて今日まで続いてきたという軌跡とともに、それぞれのいけ手の人生の軌跡という側面もあるのではないでしょうか。いけばなの心を次代に受け継いでいくことは伝統文化の使命でもあります。本展では、ご覧になる方に池坊のいけばなのもつ『華の軌跡』を感じていただきたい。」と話され、その後、会場内の全作品の巡視が行われました。
大丸会場には、家元、次期家元、青年部代表の池坊家3代、および池坊中央研修学院教授陣が「立花の競演」として作品を展示しました。また、池坊の全国の華道家による立て花、立花、生花、自由花の作品が3期の展示替えを行いながら会場内を囲み、古より受け継がれてきた池坊いけばなの軌跡を披露しました。大丸京都店四条正面入口ショーウインドウには大作の砂物が展示され、往来する方々も足を止めてご覧になっていました。家元の作品は梅の苔木、イチョウの葉、オウゴンシンパク、シャレ木の立花新風体、次期家元の作品はモミジ、カマツカ、コスモス、イオノプシス(ももちゃん)、アプライト、ヘリコニアなどを使用した立花新風体、青年部代表はコシアブラ、ミューレンベルギア、サガキクなどを使用した立花をいけました。
10日からは池坊会場が始まり、開会式では、家元、来賓の都倉俊一文化庁長官、古川博規副知事、門川大作京都市市長からごあいさついただき、家元は「いけばなは絵画や彫刻と違い後に残るものがない。しかし、こうして続いていくのはいけばなの心があるから。先生から弟子へ、弟子から弟子へ、人の温かい心があればこそ続いていきます。一人でも多くの方々がいけばなを愛してくださることを切に願います」と話しました。その後、来賓の方々および、家元、次期家元によるテープカットが行われました。
家元道場には、家元、次期家元、審議役、青年部代表はじめ華道家元池坊名誉教授、池坊中央研修学院教授、研究員、華﨟職、(一財)池坊華道会役員などのいけばなが展示されました。家元作品は梅の苔木、デュランタ、ホウズキ、プリペットの立花新風体で、花席には「風花」の書とイチョウの絵が描かれた掛軸が飾られました。次期家元は、かつて京都・東山の菊渓(菊渓川)に自生し、現在、再生が図られているキクタニギクと、シュウメイギクを使った自由花をいけられました。
池坊本館4階から7階には(一財)池坊華道会会員の作品が並び、本館会場のエントランスとなった8階には、新刊本『立て花のトビラ』(日本華道社)の発売を記念して、立て花の特設コーナーが設けられ、特命教授および教授による11作の立て花が見どころの1つとなりました。また、WEST18ビル1階には池坊短期大学の学生、池坊保育園の園児の作品が並びました。9日は支部選出コンクールが行われ、団体で34支部・支所、個人で75名、合計177名の会員が参加され、団体の部は池坊田川西支部が優勝、個人の部は勝又裕子氏(池坊熊本橘支部)が特選に選ばれました。
11日には、池坊青年部のイベント「池坊専宗 青年部始動記念企画 〜今、私たちを考えて〜」が開催され、全国の青年部員が約200名参加しました。今年7月に青年部代表に就任した池坊専宗代表によるあいさつ、落語界の若手として活躍されている桂吉坊氏のお話、その後、青年部代表、桂吉坊氏、川嶋孝憲氏(池坊横浜碧洋会支部青年部長)によるパネルディスカッションが行われました。司会とステージの大作を池坊中央研修学院藤井真特別嘱託講師が担当しました。
12日にはIkenobo花の甲子園2023全国大会が開催され、地区大会から選ばれた14チームが出場、高校華道日本一を目指しました。今年のテーマ「故郷(ふるさと)」に合わせて、それぞれの地域の特徴を表現したり、家族や友人などへの思いを花に託して、作品を完成させました。優勝は岐阜県立岐阜商業高等学校「花はちす」、準優勝は熊本県立熊本高等学校「若紫」、3位は徳島県立徳島北高等学校「花水木」が選ばれました。大会当日には大会アンバサダーのお笑い芸人のミキが来場、塩月希依音氏(NMB48)が司会アシスタントを務め大会を盛り上げました。
いけばな資料館では11月10日より展示が替わり、旧七夕会期間中に特集展示「元禄の立花師 藤掛似水」の展示解説を池坊短期大学松本公一教授が、特集展示「立花図集の刊行~『立花図并砂物』刊行350年~」および展示全般についての展示解説を池坊中央研究所細川武稔主任研究員が行いました。また、今回、池坊会場では来場者を英語の解説でご案内するEnglish Guide Tourを実施。京都観光に来られた海外の方などが参加されました。
花展期間中は、両会場ともに多くの方にご来場いただきました。皆さま、ありがとうございました。
なお、本展に展示された一部作品については、Facebookの池坊公式アカウントで公開を予定しています。
※令和6年度旧七夕会池坊全国華道展は2024年11月13日~18日に開催予定です。