池坊由紀「花をアートへ」展が開催されました
次期家元 池坊専好がアーティスト・池坊由紀としていけばなを探求する「花をアートへ」展が、1月15日(土)~29日(土)に東京画廊+BTAP(東京都中央区)で開催されました。
同ギャラリーは2020年に70周年を迎え、今回、戦後芸術の自由闊達なあり方を見直し、さまざまな表現の交流を促す契機として、芸術領域でのいけばなの可能性を探求する展覧会が企画されました。
本展で次期家元は、立花の伝統的なスタイルである「砂物」と、蓮の枯れ枝や葉、新芽を使用した作品を展示し、伝統的な美観と現代の美観の対比を演出しました。
砂物には水辺の文様が入った州浜型の砂鉢を使用し、花材には松や竹、梅の苔木、ずわえ、ブラッシア、イオノシジューム(ももちゃん)などが用いられました。この作品は、正面・俯瞰といった視点の変化により、さまざまな姿や表情を見せ、また、和と洋の花材を用い、日本の伝統的美観の中に現代的な要素が取り入れられた作品が制作されました。
蓮の作品は、伝花「蓮一色」における一瓶の中に三世(過去・現在・未来)をいけ表すという考え方をモチーフに、朽葉で過去、萌芽で未来、作品を見る人を現在として制作されました。また、この作品は雪景色の中の自然な蓮の姿のように見せながらも、立花の特徴である「出」を意識していけられており、自然そのものの美から理想の美へと磨き上げる池坊の美が表現されました。
※伝花:立花はさまざまな草木の調和を原則としていますが、蓮・松・桜・燕子花・菊・紅葉・水仙に限り、一種類で立調する「一色(いっしき)」と呼ばれる伝花としての立花があります。
本展の様子はYouTube「mireva channel」でライブ配信されました(アーカイブをご覧いただけます)