家元・次期家元
2021.08.15

次期家元 池坊専好が薬師寺まほろば塾で講演を行いました

次期家元 池坊専好は7月18日、奈良市薬師寺 まほろば会館で開かれた月例 奈良まほろば塾 第120回(主催・法相宗大本山薬師寺)で、『コロナといけばな』をテーマに講演を行いました。当日は、同塾会員の中から約60人が参加しました。
「まほろば」とは、優れた美しいところを指す言葉。まほろば塾は、日本人の「美しいこころ」と「豊かな文化」を日本人に広く伝えるため平成16年に開塾し、宗教やジャンルを超えた各界の著名人が講師を務めています。
当日は、はじめに塾長である加藤朝胤薬師寺管主による法話「白鳳文化の結晶」があり、薬師寺が建立された経緯を語ると共に、薬師寺には玄奘三蔵の精神あらわれており、それを引き継いだ天武天皇、持統天皇の精神を繋いでほしいと語られました。

続いて次期家元が「コロナ禍により、いけばなについて立ち止まって考えるきっかけになりました」と講演を始めました。
そして「いけばなの源流である〈仏前供花〉、命のはじまりから枯れて土に戻るまで、全ての時を輝かせるのがいけばなだと説いた〈専応口伝〉、このいけばなの原点に立ち返ることができました」と話しました。

続いて花の持つ力について「15世紀半ば、寛正の大飢饉と同時期に、たくさんの人が池坊専慶の花を見に集まったと資料にあります。花を見ることによって、エネルギーを得たり、苦しい現状を忘れたりしたのでは」「家に花を飾り、家の人にささやかな希望、明るさ、元気を届けることも文化」と述べました。
また「いけばなそのものを残すことはできませんが、おばあちゃんがお仏壇に花をお供えする光景を見ていると、教えなくても伝わります。私たち一人ひとりが文化の伝承者であり伝達者」と語りました。
そして「危機的な状況の中ですが、いけばなからは、どんな人も輝くという、深い応援メッセージを感じます。私は先人から『どんな時もたくましく、しなやかに生きなさい』という、大きなエールをもらっている気がします」と結ばれました。

その後、次期家元は薬師寺にちなみ、薬に関連する花材(ナツハゼ、キキョウ、オミナエシ、センノウ、ヒオウギ)を使った自由花を披露しました。「センノウは真夏の暑い時に咲く、不老不死の象徴、幻の花として好まれた」「ヒオウギは仰ぐことによって邪気を払う、当季の花」など、それぞれ植物の特徴・薬効、いけ方のポイントに触れ、「昔の人は鑑賞と実益を兼ねていけていたのかもしれません」と話しました。参加者はいけあがる様子に興味深く見入り、また、講座終了後は、たくさんの方々が写真を撮っていました。

加藤朝胤薬師寺管主と

講演の様子は、「薬師寺まほろば塾オンライン」で8月10日から配信されています。

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